老後と聞いて、まず思い浮かぶのは「お金」ではないでしょうか。
年金はいくらもらえるのか。
貯金はいくらあれば足りるのか。
働けなくなったらどうなるのか。
特に私たち氷河期世代は、若い頃から収入が安定しにくく、将来に安心感を持ちにくい環境で過ごしてきました。
だからこそ、「せめてお金だけはなんとかしなきゃ」と思ってしまうのは、とても自然なことです。
でも、ここで少しだけ視点を変えてみませんか。
興味深い調査があります。
日本人がどんな時に幸せを感じているか
内閣府が2023年に公表した「満足度・生活の質に関する調査」では、日本人が「どんなときに幸せを感じているか」が詳しく分析されています。
そこで見えてきたのは、こんな傾向でした。
お金が増えるとたしかに幸福度は上がります。
でも、その上がり方はだんだんゆるやかになっていきます。
それよりも、「健康」や「人とのつながり」の方が、ずっと強く幸福度に影響し続けることがわかりました。
つまり、お金で得られる安心には限界があるけれど、健康とつながりは、ずっと心の安心に効き続けるということです。
特に意識したいのは「頼れる人がいない」と感じている人は、収入に関係なく幸福度がとても低いという結果です。
氷河期世代が気をつけたい、見えにくいリスク
厚生労働省が2023年度にまとめた氷河期世代の資料では、将来の低年金リスクと、社会的に孤立しやすいリスク、この2つが重なりやすいことが指摘されています。
さらに、JAGESという大規模調査では、社会的な孤立は認知症リスクを約1.5倍、死亡リスクを約1.3倍高めることもわかっています。
つまり、こういうことが起きやすいんです。
お金の不安から働きすぎる→ 人との関わりが減る→ 健康リスクが上がる
まじめな私たち世代ほど、この流れに入りやすいのかもしれません。
「やりがい」は気持ちの問題ではなく、将来のお金を守る行動
千葉大学とJAGESの2021年の調査では、趣味の会や地域活動、ボランティアに参加している人は、参加していない人より、認知症の発症リスクが約30%低いことが示されています。
これは精神論ではありません。
やりがいがある→外に出る、人と話す、体を動かす→健康が保たれる→医療費や介護費が減る
つまり、やりがいは将来のお金を守る行動でもあります。
老後に満足している人は、50代までに何をしていたのか
ダイヤ高齢社会研究財団の2022年の調査では、老後に満足している人の約7割が、50代までに健康習慣、趣味、人とのつながりを並行して育てていたことがわかっています。
逆に、お金の準備だけに集中していた人ほど、満足度が低い傾向がありました。
たとえば、趣味で通っていた写真サークルがきっかけで、定年後に写真の撮影依頼を受けるようになり、やりがいと少しの収入、そして仲間が同時にできた、という例もあります。
準備は、貯金だけではないことがわかります。
お金があっても、健康でなければ楽しめない
厚労省のデータでは、平均寿命と健康寿命の差は男性で約9年、女性で約12年。この期間は医療や介護にお金がかかりやすく、自分の楽しみのためにお金を使いにくい時間でもあります。
つまり、せっかく貯めたお金が、病院や介護費に消えてしまう可能性があるということです。
健康・つながり・やりがい・お金は、ひとまとめで考える
ここまで読むと、気づくことがあります。
健康だから外に出られる
外に出るから人とつながる
つながるからやりがいが生まれる
その土台があるから、お金が生きる
この4つはバラバラではなく、ひとまとめで整えていくものです。
どれか一つだけでは、老後の安心にはつながりにくいんです。
構造上のリスクがある世代だからこそ
私たち氷河期世代は、「自己責任」という言葉を何度も聞かされてきました。
でも、収入が上がりにくかったことや、不安定な働き方が続いたことは、個人の努力だけではどうにもならない、時代の影響も大きかったと思います。
だからこそ、自分を守るために、人とのつながりを持つ。
これは性格の問題ではなく、老後のリスクに備える現実的な戦略です。
特別なことをする必要はありません。
少し外に出る。
誰かと話す機会を持つ。
興味のあることに関わってみる。
それは、健康にも、やりがいにも、そしてお金の安心にも、すべて同時に効いてくる準備です。
あなたは、一人じゃありません。一緒に、少しずつ準備していきましょう。



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